調査趣旨
日本社会は前例のない高齢化・人口減少社会に突入し、社会のさまざまな領域に多大な影響を及ぼしています。その中でも、特に東北の人口減少率は著しく、6県すべてにおいて高い割合で人口減少しています。
当法人が今年度よりCMSPを実施している葛巻町も例外ではなく、最初の国勢調査が行われた大正9年から平成27年までの95年間の人口動向を見ると、昭和35年までの40年間に約5,500人増加し、その後反転して約9,600人の減少となっています。(参考「葛巻町 まち・ひと・しごと創生人口ビジョン戦略2015」)
葛巻町では人口の社会増を目指し、移住定住施策などさまざまな取組が行われています。本調査は、葛巻町民の関係人口・移住定住に関する認識等を把握・調査し、次年度以降の葛巻町の取組や移住者の受入環境整備に活かすために実施しました。
研究メンバー
三井 俊介 NPO法人SET 理事長
廣瀬 太陽 NPO法人SET 研究部 研究員
アドバイザー
宮城大学事業構想学群教授
石田 祐
上智大学経済学部経済学科教授
川西 諭
協力
いらっしゃい葛巻推進課
助成
「令和3年度移住促進事業補助金」
調査報告書
石田祐 教授のコメント
「これからの地域づくり」は、どのまちにおいても重要なテーマとなっています。まちの目標をどのように設定するか、またどのようなアプローチをとるかについては、それぞれのまちで議論し、検討することになります。
この調査では、これからの地域づくりの一つのアプローチとして、社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)を重要な要素として掲げ、状況の把握に努めています。社会の人々を信頼する、お互い様のお約束を認識する、ネットワークを有する、といったことが視点となります。また、シビック・プライドをもう一つの指標として取り上げています。地域のみなさんが住む自らの居住地域に愛着をもっているか、誇りに感じられているかを重要な要素として捉えています。
葛巻町での調査の結果、これらの指標については、岩手県の全県調査と比べてみると、全体的に高い傾向にあることが示されています。もちろん、厳密な比較には至っていませんが、社会関係資本が豊かな可能性が示唆されているとも言えます。
さらに、アンケート調査の結果の背景にあるものを探るために、インタビュー調査も実施しています。アンケート調査の自由記述も含めると、多くの声が報告書に盛り込まれています。まちのみなさんの一部の声ではありますが、見方を変えれば、そういった声が確実にあると言えます。大学生の存在はまちの活性化のきっかけになることも言及されていますので、社会関係資本が高い葛巻町におけるこれからの協働関係構築が期待されます。
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